歯を失われた方へ
欠損治療
(ブリッジ・入れ歯・インプラント)
歯の欠損治療は、歯を失ったことによる審美的・機能的回復をする治療法です。
歯を失った状態が長く続くと、全体的な歯並びや噛み合わせにバランスが崩れ、その後の治療にも時間や費用など大きく影響が及ぶ場合があります。また、食事により物を噛むという行為は、脳への刺激、胃の負担も軽減することに繋がり健康増進にもなります。
歯を一度失うと二度と再生することはありません。バランスが崩れ、清掃性も悪くなった口の中は虫歯や歯周病が更に起きやすくなります。
もし歯を抜くような状況になってしまった場合、事前に失った歯の後をどうするかを決めて治療をスタートすることをお勧めします。そうすることで、無駄なく、スピーディーな治療を行うことができます。
01.欠損治療 ブリッジ
ブリッジ
ブリッジとは中間に失った歯をその両隣の歯で支える被せ物の治療です。
被せ物の範囲が歯を失った本数に応じて変わっていきますが、比較的短期間で治療を終えることが可能となります。
当院では以下のブリッジを扱っております。
ブリッジ
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※保証に関しては当院規程の定期検診に6ヶ月以内に来院されている方が対象となります
※保険のブリッジは2年間新製することができません。同じものを改めて製作する時は全額自己負担となります
ブリッジの
メリット・デメリット
ブリッジも残された歯の本数や虫歯・歯周病の状態により適応が困難となることもあります。固定されているメリットはありますが、汚れが溜まりやすいこともあり、その後のメインテナンスは重要になります。
メリット
比較的短い回数と期間で治療を終えることができる
セラミックを使用することで金属を避けることができる
固定されている
デメリット
健康な歯を削ることもある
支えの歯に負担がかかる
ダミーの歯と粘膜の間の清掃が難しい
支えの歯が虫歯になるとブリッジを新しく作り直す必要がある
※ブリッジ治療後の注意点
虫歯が大なり小なり、神経が残る歯では治療後は痛みが出ることがあります。冷たいものや温かいものが凍みてしまう、噛んだ時に歯が痛いなど、これらの症状は治療後に起きうるものです。虫歯が残っているわけではありませんので、ご理解ください。
痛みが強く生じている場合は、必要に応じて神経(歯髄)を除去する治療を行います。遠慮なくご相談ください。
また、虫歯が大きく神経に近い場合、処置後の痛みの有無や強弱を見るために一度間隔を置き、当日に歯型をとらないことがあります。極力神経を残すことが大前提ですので、まずは歯の生活反応を見てから判断をさせていただきます。
02.欠損治療 入れ歯
(義歯)
入れ歯(義歯)
入れ歯は歯を失った際の治療法の一つになります。
歯が残れば部分入れ歯(部分床義歯)になり、歯が全くない場合は総入れ歯(総義歯)となります。
入れ歯の設計は多岐にわたり、部分入れ歯ではバネがないタイプや、総入れ歯ではインプラントと併用するようなタイプもあります。
入れ歯製作の基本的な流れ
01
診査診断
入れ歯製作にも多くの情報を必要とします。既に入れ歯を使用しているようであれば、どこに問題点があるのか、改善して使用できるのか、一から新しく製作するのか、など様々なことを検討しながら治療計画を立案します。
02
概形印象
この時点で入れ歯の設計は決まっており、部分入れ歯を製作する場合はバネをかける歯に溝を付与したり、歯の形を修正したりすることで、入れ歯の取り外しの方向性を決定します。
03
精密印象
概形印象から得られた模型から個々に合わせたオーダーメイドのトレーを製作し、再度歯型を採ります。
04
咬合採得
現在の噛み合わせや顔の表情、口周りの張りなどを参考に噛み合わせの高さの記録を確認します。長い習慣から本来の顎関節の正しい位置ではなく、誤った位置で噛み合わせを行っている場合もあるため、正しい位置を見極めていきます。
05
排列試適
歯並びと噛み合わせの位置を確認します。
スムーズに顎を動かして開閉口運動をできるか、また発音も明瞭に聞こえるかを確認します。
05
完成・調整
入れ歯が完成後は何度か調整が必要となります。
新しいものが入ることで口の中で馴染むのにも時間がかかり、またちょっとしたズレから粘膜に傷が出来たりします。噛み合わせと共にしっかりと調整します。
入れ歯の種類について
入れ歯は材質の違いなどから種類がいくつかあります。
金属製など適合や精度の良い入れ歯や、金属を使用せず目立ちにくいものまであります。当院では初めて入れ歯を製作する方や、噛み合わせがずれてしまっている方に対しては、まず始めに保険適応での入れ歯の製作を行うことがあります。その後、噛み合わせや機能的に問題がないことを確認して慣れたうえで、より装着感のよい入れ歯の製作をお勧めしています。当院で扱う入れ歯は以下の通りです。
※画像クリックでPDFが開きます
※保証に関しては当院規程の定期検診に6ヶ月以内に来院されている方が対象となります
入れ歯の
メリット・デメリット
入れ歯はケースを選ばず設計できるため、ブリッジの適応が難しい場合や、インプラント治療の間に使用することもあります。入れ歯を支える大部分に粘膜(歯茎)があり、粘膜は通常の歯に比較し噛む力は劣ります。粘膜も経年的に形が変化してくるため、入れ歯の調整や新製も必要にはなります。
メリット
デメリット
入れ歯とインプラントの
組み合わせ
入れ歯とインプラントを合わせた治療をインプラントオーバーデンチャー(IOD)といいます。入れ歯とインプラントを一定の力で半固定するものになります。
通常の入れ歯と比較し、入れ歯が動きにくく安定し、咀嚼効率は上がり、入れ歯で感じていた不安定さは取り除くことができます。入れ歯をより高い機能回復として求める場合には有効な治療法です。
また、全てをインプラントで補うことなく最少本数のインプラント治療で終えることが可能なため、高齢の方でも低侵襲にかつ経済的に行える治療法になります。
03.欠損治療 インプラント
インプラント
インプラントは人工歯根とも言われます。
歯を失った顎の骨にチタン製などの金属を埋め込み、それを固定源として被せ物を作成します。
インプラント(歯根)+アバットメント(土台)+上部構造(被せ物)
この3つの構造からなり、その機能を発揮します。
インプラント治療の流れ
01
診査診断
インプラントは顎の骨に固定されるとその後に動かすことができません。
どの位置にどの本数インプラントを埋入すべきか、また骨の状態は良いか、口の中の衛生環境は良いか、様々な面から計画を立てていきます。
02
歯周基本治療
インプラント手術の前には口の中の環境を整えておく必要があります。虫歯や歯周病の状態を改善し、可能な限り細菌感染のリスクを下げたうえでインプラント治療に進んでいきます。
03
一次手術
インプラントを顎の骨に埋め込む手術となります。
手術してから骨とインプラントが結合するまでに数ヶ月の時間を要します。
04
二次手術
インプラントが骨と結合した後、インプラントと上部構造を繋ぐ準備をします。
アバットメント(土台)をインプラントの入り口に接続して歯茎の上に頭を出します。
05
仮歯装着
仮歯をインプラントと接続し、実際に噛ませて機能させたり、歯茎の形を仮歯により整えていきます。
06
上部構造装着
仮歯により機能や清掃性に問題がないことを確認した後、最終的な上部構造に置き換えていきます。
インプラント治療と
メインテナンス
インプラント治療は手術が全てではありません。むしろ上部構造を装着し、安定してインプラントが機能出来るようになってからが大事になります。日々のケアに加えて定期的なチェックを受けることが重要で、何か問題が起きた時でも早期発見、早期治療で予防的な概念を持つ事が求められます。
【メインテナンス項目】
- ・咬合調整(噛み合わせチェック)
- ・周囲粘膜の状態確認
- ・ブラッシング指導
- ・PMTC (機械的歯面清掃)
- ・エックス線、口腔内写真での比較観察
- ・インプラントのネジの緩み、動揺の確認
メインテナンスは3~6ヶ月間隔で行うとよいとされます。日々のケアでは落としきれない汚れや、確認出来ない噛み合せの変化などを細かく診てもらうことが大切です。
インプラント治療と歯周病
インプラント治療は失った歯の機能回復、噛み合わせの安定、残った歯の負担軽減などといった点からメリットの多い治療ではあります。しかし、歯周病患者においては適切な治療とメインテナンスが必要不可欠となります。
インプラントは生体内の骨から生体外の口の中に貫通して存在するため、口の中の環境がインプラントの予後にも大きく影響を及ぼします。
歯周ポケットなどにいる口腔内の歯周病原細菌は、インプラント周囲にも付着していきます。細菌の種類も複雑多種に及び、インプラント特有の歯周炎に罹患していくことも確認されています。
このことから、歯周病患者に対してインプラント治療を行う前には口の中から歯周病原細菌を可能な限り減らすことはもちろん、歯周病治療の管理がされていない方へのインプラント治療は控えるべきということになります。
インプラント周囲粘膜炎・インプラント周囲炎
インプラント周囲粘膜に生じる病変は、①インプラント粘膜炎と②インプラント周囲炎に分けられます。
①インプラント周囲粘膜炎 (peri-implamt mucositis) |
|
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②インプラント周囲炎 (peri-implantitis) |
(図1)インプラント周囲に炎症が生じて膿が出ている |
これらの原因は口の中の衛生状態が不良なこと、歯周炎の既往、喫煙、糖尿病、粘膜の状態、インプラントの性状などが挙げられます。天然歯の歯周病と類似した細菌叢がいることが報告されているため、歯周炎からの感染が問題となります。
予防法や治療法としては、まずは歯周基本治療が先行して行われ、プラークなどは徹底的に除去していきます。その結果に応じて非外科的治療(消毒剤による殺菌洗浄やインプラント部の清掃など)か、外科的治療(歯肉切除や再生療法やインプラント除去など)を選択していきます。
インプラント治療と
矯正治療
インプラント治療を行うにあたり、スペース獲得に歯並びの改善が必要になる場合があります。事前の計画から矯正治療の必要性がある場合は、先行して矯正治療を行い、インプラントを埋入するために歯を動かします。矯正治療と並行して治療を行うため時間はかかりますが、噛み合わせや歯並びを改善することで、その後の機能や審美性にも大きな差が生まれます。
インプラント治療と
リスクファクター
インプラント治療は外科手術を伴う治療です。一般的な歯科治療以上に前史管理が重要になります。昨今、糖尿病や高血圧など内科的疾患を持ち合わせている方は多く、基礎疾患を持っている場合は、それ自体がリスクであることから、事前の問診や各種検査・処置が必要となります。
以下の方は非適応症となってきます
①未成年の方 | 未成年の方はまだ顎の骨の成長が発育途上で終わっていませんので、インプラント治療は避けなければなりません。個人差はありますが、20~30歳を目処と考えられています。 |
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②高血圧 | 加齢とともに血管の弾性が弱まり血圧が高くなってくる傾向があります。高血圧は術中術後の止血困難を起こしたり、過度の血圧上昇は心臓や脳、腎臓に障害をきたし、最終的には心筋梗塞や脳梗塞などの合併症などを引き起こす原因となります。一般的に高血圧の基準は140/90mmHgとなっており、それ以上の場合は降圧剤の服用など術前のコントロールが必須となります。 |
③糖尿病 | 糖尿病の場合、手術部位の治癒不全、易感染性などが起きやすくなります。そのため外科処置を行う判断基準にHbA1cの値が評価されます。一般的には他全身疾患などが管理されたうえで基準値HbA1c 6.5以下が求められています。 |
④骨粗鬆症 | 骨粗鬆症はインプラント治療の成功率を下げる要因となります。これはインプラントが骨と完全に固定される為には骨の代謝が重要だということがその背景にあるわけですが、骨粗鬆症になっていると骨の強度が低下しているので、手術時の初期固定も低下してしまいます。正常な骨の代謝が行われないことで治癒の過程での骨との結合も脆弱なものとなり、結果としてインプラントが脱落してしまう原因ともなってしまいます。 また骨粗鬆症の患者さんに処方されている事が多いビスフォスフォネート製剤も今日大きな問題となっています。ビスフォスフォネート製剤を投与および服用していると、抜歯やインプラント手術など顎骨に及ぶ外科的処置をきっかけに、極めて難治性な顎骨壊死が起こるという報告があります。 |
⑤喫煙 | 喫煙はインプラントの成功率を妨げます。成分であるニコチンは抹消の毛細血管を収縮させ、治癒に重要な血流の流れを滞らせます。創傷治癒不全となると歯周組織の健康や、インプラントと骨の結合を阻害させます。 |
⑥歯周病 | 歯周病は歯を支える骨を溶かす病気です。これはインプラントにも問題になります。インプラント自身は金属であるため虫歯になることはありませんが、骨を溶かしてしまう歯周病に罹患してしまうと、インプラントを支える事が出来ずに脱落する要因になり、また炎症による歯茎の腫れや痛みなども生じてきます。 |
⑦ブラキシズム | 食いしばりや歯軋りといった噛む力によりインプラントに弊害が起きる事があるます。過度な力は上部構造(被せ物)の破損やインプラントの破折、スクリューの緩みなどを引き起こします。無意識下で行われている事が多いブラキシズムですが、ナイトガードといった歯を保護するものを装着する必要が出て来る事があります。 この他貧血や自己免疫疾患、精神疾患など治療困難となるケースもありますが、いずれの場合も、かかりつけの医師と密接な連絡と相談をしたうえで慎重に判断していくことが必要になってきます。 |
インプラント治療の
トラブル
問題なく使用で来ていたインプラントも、清掃状態や噛む力などの影響でトラブルが生じることがあります。定期的なメインテナンスで未然にトラブルを防ぐ事が大切になります。
インプラント周囲粘膜炎、
インプラント周囲炎
清掃状態が悪かったりした場合に、インプラントを支える粘膜や骨に炎症が起きる事があります。骨を失ってしまってはインプラントが維持出来なくなりますので、出血がしたり、違和感を覚える時は確認をしたほうがよいでしょう。
インプラント体、上部構造の破損、スクリューの緩み。
過大な咬合力や繰り返しての使用でそれぞれが疲労、劣化してくることがあります。インプラントと上部構造をつなぐスクリューが緩くなったり、破折することもあります。
対合歯の破損
インプラントは噛み合せの調整が非常に重要になります。天然歯は骨と歯とつなぐ歯根膜というクッションがあるため少し沈み込むのに対し、インプラントは骨とくっついていて動きません。そのため強い力がかかるとインプラントと対合する歯が負けて削れたり欠けたりすることがあります。
これらいずれの場合も何か異変を感じたら、大きなトラブルとなる前に早い段階でご相談ください。
インプラント治療の費用
インプラント治療は診査診断と治療計画により、費用と治療期間に差が生じます。当院では各工程ごとに費用が分けられています。
治療費は以下の通りです。
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※保証に関しては当院規程の定期検診に6ヶ月以内に来院されている方が対象となります
インプラント治療の
オプション
インプラント治療が難しいケースでの対応や、手術における正確性を高めたり、不安を除去するための方法になります。
骨造成
(Guided Bone Regeneration)
インプラント手術をする際、骨がない所にはインプラントを定着させることはできません。歯を失ってしまった期間が長かったり、歯周病によって骨が溶けてしまった場合など、本来はあった骨がなくなってしまうことでインプラントを埋入できない事があります。
そこで必要となってくるのがGBR(骨誘導再生)という造骨する治療になります。自家骨移植(顎の一部などから健康な骨を採取して移植する)や人工骨移植などがそれにあたります。
上顎の場合は顎の解剖学的な制約から、ソケットリフト/サイナスリフトという手術を併用することがあります。
【特徴】
①GBR単独:多くの骨を造る場合
骨が殆どない場合、インプラントの埋入手術に先立って骨を補う手術を行うことがあります。人工骨などの骨補填材が硬化するまでに約半年の期間をおきます。そして骨が硬化後にインプラントを埋入する手術を行っていきます。骨を補う場合は傷口から漏れたり、崩れたりしないようにメンブレン(膜)というもの覆って型を整えておきます。このメンブレンは吸収性の物と非吸収性のものとがあり、骨を多く造る場合は非吸収性のメンブレンを用いることが多くなります。非吸収性の膜を用いた場合は数ヶ月のちにメンブレンを除去する処置が必要になります。
②GBR併用:インプラント同時埋入
ある程度自身の骨が残っている場合にはインプラント埋入と骨を補う手術を同時に行うことがあります。一度で手術を終える事が出来ますので、患者さんの負担は減りますが、適応ケースも限られるため計画をきちんと確認するようにしてください。
GBRを行う事で治療の期間や回数がかかってしまう事があります。より早くインプラントで噛みたい、治療を終わらせたいということもあるかもしれませんが、しかし無理な計画で行ったインプラント治療ではトラブルが起きてしまう可能性も高くなります。インプラントを長期的に維持安定させていくためには必要な処置を省くことはお勧めできません。きちんと歯科医と相談のうえ、治療を行うようにしてください。
【症例】50代女性 歯が割れた部分にインプラント治療をしたい
歯が割れてしまい保存困難となった方です。抜歯後のインプラント治療を希望されたため。抜歯と同日にインプラントを埋入しました。
歯を抜いた形でスペースがあり、インプラント周囲に骨が足りないことからインプラント埋入と同時に骨造成を行いました。半年後、インプラントが隠れるほど骨が出来ていました。
治療前
治療後
治療内容 | 局所麻酔+抜歯即時インプラント埋入 +骨造成 |
---|---|
目的 | 保存不可の歯の除去及び欠損部の補綴 |
治療期間 | 約6ヶ月 |
費用(税込) | ¥572,000 (インプラント¥462,000+人工骨¥110,000) |
副作用・リスク | 治療後の疼痛・腫脹・内出血、 麻酔による一時的感覚の喪失 |
ソケットリフト・サイナスリフト
上顎の骨の中には上顎洞(副鼻腔)があります。上顎洞は奥歯の根と近接しており、抜歯後の変化で骨が吸収されて減少してしまった場合などでは、インプラントを埋入するのに必要な垂直的な骨の高さが十分に得られないことがあります。
そこで行われるのがソケットリフト/サイナスリフトです。これらは共通して上顎洞を粘膜ごと持ち上げます。粘膜と骨の間にスペースを作り、そこに人工骨を補填してインプラント体埋入に必要な垂直的な骨の高さを増加させていきます。
【ソケットリフト】
埋入する穴から垂直にアプローチする方法をソケットリフトと言います。侵襲は比較的少ないですが、盲目的な治療でもあり、また骨を増大する量が限られてきます。上顎洞に接する垂直的な骨の高さが4㎜以上ある場合に適応されます。
【サイナスリフト】
上顎骨側壁から明視できる状態で上顎洞を挙上するのがサイナスリフトになります。侵襲度は大きくなりますが、十分な骨の補填を行う事ができます。
上顎洞に接する垂直的な骨の高さが4㎜未満の場合に適応されます。
骨の状態によって同時にインプラントを埋入することもあれば、補填した人工骨が成熟するまで約6ヶ月程待ってからインプラントの埋入手術を行う場合と2パターンに分かれる事があります。
ガイデッドサージェリー
インプラントの埋入は計画した位置に行うことが求められます。しかし、コンピューター上で設計した内容を実際の口の中でイメージだけで再現することは不可能です。その再使用するものがガイデッドサージェリーです。
CTの治療計画データより作成されるインプラント用ドリルガイドのことをいいます。少数歯欠損から無歯顎の状態まで様々な症例に対応でき、これにより正確により安心安全、スピーディーな手術が実行されます。
静脈内鎮静法
(Intravenous sedation)
主に腕の静脈に点滴を利用して鎮静剤、精神安定剤等を注入します。
全身麻酔ではないため、完全な無意識下になることはありませんが、歯科治療に対して恐怖心の強い方でも不安や恐怖といった精神的緊張を和らげてコントロールすることで円滑に歯科治療を行う事が出来ます。処置中は血圧や脈拍などを適宜確認して治療していきます。
治療中の過度な緊張は、それ自体でショック症状が起きやすくなったり、治療中の痛みなどで様々な偶発症が起きやすくなったりします。各重要臓器の予備能力の低下した高齢者では重篤な合併症を引き起こす事もあります。そのため安全に歯科治療を行うための方法としても用いられています。
また鎮静後はやや足下がふらつくなど酔ったような状態になることがありますが、しばらく休んで頂ければ回復していくため、入院などすることもなく当日中に帰宅する事が可能です。
※写真はフクダ電子HPより
歯肉移植
前歯部など元々骨が薄い部分や審美的要件が高い部分に対し、骨造成のみならず、粘膜を移植することにより、その厚みからインプラントを保護する役目を果たします。また、粘膜に厚みや強度を増すことでインプラント周囲粘膜の清掃性の向上にも繋がります。主に口蓋から歯肉を採取して移植します。
口蓋より採取
採取した粘膜
移植先へ固定した粘膜
04.欠損治療 歯牙移植
歯牙移植
欠損部を補う治療に歯牙移植があります。
これは自分の歯(主に健康的な親知らず)を利用する方法になります。
健康的な“歯根膜”が残っている歯であれば、自分の細胞であるため移植先へ拒絶されることなく生着して機能します。
ただし、歯の大きさが移植する骨からはみ出さずに収まることが必要です。
【症例】30代男性
歯が割れて噛むと痛い
食事をするたびに噛むと痛いということで診査すると、奥歯が半分に割れていました。半分失ってしまったため保存困難と判断し抜歯を提案しました。欠損部の案として、健康な親知らずがあったことから移植を希望されました。
移植後の歯は根管治療を行い、最終的に被せ物で噛み合わせを修復しています。
治療前
親知らず抜歯
治療後
治療内容 | 局所麻酔+親知らず抜歯+歯牙移植 |
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目的 | 欠損部の補填 |
治療期間 | 約4ヶ月 |
費用(税込) | ¥55,000(保険治療は含まない) (抜歯・歯牙移植・根管治療:保険+ジルコニアクラウン¥55,000) |
副作用・リスク | リスク:治療後の疼痛・腫脹・出血、移植歯牙の脱落 |
医療費控除について
医療費控除とは、1年間に支払った医療費の総額が一定金額(10万円)を超える場合、その翌年の確定申告で医療費控除を申告すれば、いくらか税金の還付を受けられる制度です。
これから受ける治療が、医療費控除の対象なのかどうか気になる方は、スタッフにご相談ください。